青森県の高校入試

過去の入試分析

【令和5年度 高校入試】

【国 語】

概略

  • 大問1 放送の聞き取り(16点)
  • 大問2 漢字の読み書き(12点)
  • 大問3 古文・漢文(14点)
  • 大問4 論説文(22点)
  • 大問5 小説(26点)
  • 大問6 作文(10点)

・大問2の配点が昨年から2点減。(2)が1問減った。

・大問3の配点が昨年から2点増。古文と漢文が出題(昨年は漢文のみ)。それに伴い設問数も増えたが、難易度は昨年並み。

・大問4の文章量は昨年からやや減。設問数は昨年の5問から1問増えて6問へ。(1)は選択肢から他動詞をすべて選択する問題。

・大問5の文章量も昨年からやや減。設問数は昨年と同じ。難易度も昨年並み。

一部で配点や設問数の変化はあったものの、全体の難易度は昨年とほぼ同様(昨年の平均点は67.5点)。平均点は今年度も60点を上回る見通し。

傾向分析

大問1は聞き取りの問題でした。ある中学校の放送委員会での話し合いを聞いて設問に答えるものでした。出題形式はほぼ例年通りで、個々の人物がどのような主張をしているかを注意深く聞き取れれば、十分に得点につなげられる内容でした。

大問2は漢字の読み書きでした。配点が昨年より2点減り、設問数も1問減りました。読み、書きともに難度の高いものはありませんでした。答える際の書き間違いに注意しましょう。

大問3は古文と漢文が出題されました。これまでは古文と漢文が交互に出題されていましたが、今年度は(1)で古文、(2)で漢文という構成でした。(1)は松尾芭蕉の『おくのほそ道』で、今年度も歴史的仮名づかいを現代仮名づかいに変換する問題が出題されました。内容理解の問題も出題されましたが、本文中の現代語訳をもとに読み進めることで答えられる内容でした。(2)は孟浩然の『春暁』でした。返り点をもとに書き下し文を答える問題が出題されましたが、一・二点の読み方を知っていれば対応できる問題でした。出題形式こそ変化したものの、古文・漢文いずれも基礎を理解できていれば正解できる内容だったと言えるでしょう。

大問4は論説文で、大嶋義実(おおしまよしみ)『演奏家が語る音楽の哲学』からの出題でした。文章量は例年よりやや短くなったものの、設問数が1問増えました。(1)は選択肢の中から他動詞をすべて答える問題でした。動詞の活用形や活用の種類に関する問題は毎年出題されていますが、他動詞と自動詞の違いを問う問題は例年では見られない形式でした。他は指示語の指示内容や内容理解に関する問題で、時間配分に気を付けながら本文を読み進めることで答えられる内容でした。

大問5は小説で、我孫子(あびこ)武丸(たけまる)『残心(ざんしん) 凜(りん)の弦音(つるね)』からの出題でした。大問4と同様に文章量が昨年よりやや短くなりましたが、設問数は昨年と同じでした。本文は「凜」と「母」のやりとりを中心に展開されています。打ち込んでいた弓道から離れて進路に悩む「凜」と、彼女を心配する「母」の心情を正しく把握できるかがポイントです。(1)は文節相互の関係を答える問題でした。修飾・被修飾の関係に気づくことができれば、正解できる内容でした。(2)から(6)は例年並みの出題形式と難易度でした。

最後の大問6は作文の問題で、「いいです。」と答えた二つの場面をもとに、「いいです。」という言葉の意味や使い方について自分が気づいたことや意見をまとめるものでした。指示されたとおりの内容で文章をまとめ、正しく原稿用紙を活用することが重要です。また、誤字・脱字の無いよう注意が必要です。

昨年と比較すると、大問3で古文・漢文の両方が出題されたことを除けば昨年とほぼ同様の難易度でした。基礎的な設問をどれだけ取りこぼさずに正解できるかが高得点のカギとなりそうです。今年度の平均点も60点を上回るかと思われます。

阿部

【英 語】

概略

  • 大問1 リスニング(27点)
  • 大問2 整序英作文、適語補充、和文英訳(14点)
  • 大問3 対話文、対話完成適文選択、内容に合う選択(13点)
  • 大問4 対話文、対話完成適文選択、内容に合う選択(13点)
  • 大問5 長文、適文選択、指示語、要約文完成(25点)

・大問3は対話文問題で、対話完成英作文(昨年3点×3が今年2点×2)、適文選択(昨年2点×2が今年3点×3)

・大問4は文章量が微増(昨年242語、今年253語)。(3)に20語以上の自由英作文。テーマの「あなたが話してみたい人」は使う構文で迷うかもしれない。

・大問5は文章量が微減。(昨年463語、今年438語)

傾向分析

大問1のリスニングは前年の形式を踏襲しています。(1)の問題は絵と日本語のメッセージの中から選ぶ問題が3問中2問でした。資料の数字をメモする必要がありました。(2)は、選択肢に注目して、あらかじめ必要なことをメモする必要があります。内容はほぼ例年並です。 (4)は例年通りの英語の質問に英作文で答える問題です。英語の上達するための具体的な英作文が必要でした。

大問2は資料と英文の問題でした。語数は昨年の215語から311語と昨年から増えています。(1)は並べ替え英作文です。アは「依頼を表す助動詞can 主語 動詞の原形~?」の文を使います。イは「主語+動詞+疑問詞+主語+動詞~」の間接疑問文、ウは「形容詞的用法の不定詞」を使う英作文でした。(2)は「現在完了形・経験」の「never」が問われました。(3)の1の英作文は「現在完了形・継続」sinceの後に文がくるもの、2は「長い形容詞の比較級」を使うものでした。

大問3は、英作文が3点×3の適文選択と、2点×2で内容に合うものを2つ選ぶように問題構成と配点が変更になりました。

大問4は、形式は(1)が去年と同じ、要約文に適語を入れる問題、(2)は英問英答、(3)は20語以上の自由英作文でした。「関係代名詞」や「後置修飾」が必要な話題だったと思います。

大問5は、形式は昨年とほぼ同じでした。 (1)は適文選択、(2)は指示語の問題、(3)は要約文完成の問題でした。内容と文章の読み取りの変化から、昨年から難化しました。

蝦名

【数 学】

概略

  • 大問1 小問集合(43点)
  • 大問2 作図、確率(15点)
  • 大問3 空間図形,平面図形(16点)
  • 大問4 関数のグラフ(11点)
  • 大問5 方程式と関数(15点)
  • 全体として、設問の構成は例年通りです。難易度は昨年とほぼ同じ(昨年平均点53.1点)。

傾向分析

大問1
 ほぼ例年通り。(3)の累積相対度数の出題が新しい。難易度は例年通り。

大問2
 ほぼ例年通り。(1)作図/90度の回転移動を、垂線(180度の二等分線)へと繋げられるかがポイント。(2)確率/2人の会話による解法の誘導があり解き易い。難易度は例年通り。

大問3
 ほぼ例年通り。(1)空間図形/「三平方の定理→辺や高さ→三角錐の体積→底面を変えた高さ」のよくあるパターン。(2)平面図形/三角形の合同証明の穴埋め(3年連続)。正方形と直角二等辺三角形(底角45度)を利用。難易度は例年通り

大問4
 ほぼ例年通り。各問で比例定数が異なることに注意。(1)が基礎、(2)が応用。イは文字による座標置換があり、やや難。

大問5
 ほぼ例年通り。文章量は多めで(1)が基礎、(2)が応用となっている。(1)題材が「りんごとなしの個数を、マユさんが一次方程式、リクさんが連立方程式で解いた」と把握しやすい。(2)マユさんの一次方程式を一次関数のグラフの整数値を考える」という応用も、誘導形式の穴埋めのため、誘導通りに答えを埋めていくと答えに辿り着く。

各大問で、手のとまるような応用問題が所々あり、そこだけに時間をかけず、解ける問題で確実に得点することが高得点のカギとなりそうです。全体的な難易度や予想平均点は昨年と同等です。

佐々木

【社 会】

概略

  • 大問1 世界地理 (13点)
  • 大問2 日本地理 (16点)
  • 大問3 江戸時代までの歴史 (15点)
  • 大問4 明治時代以降の歴史 (15点)
  • 大問5 公民[人権/裁判] (14点)
  • 大問6 公民[経済] (15点)
  • 大問7 小問集 (12点)

・大問の構成は例年通り。

・地理、歴史、公民の配点が33点、36点、31点とほぼ均等に分けられているのも例年通り。

・昨年度見られた配点4点の記述問題はなくなり、記述の配点も22点から18点に減少した。

・昨年度見られた幅広い知識が問われる内容になっているので、学習量に比例して点数が取れるような問題になっている。

・該当する県や地方、国など、すべて合っていなっていないと正解にならない難易度の高い問題が見られた。

正答率が低いと思われる用語などは見られず、記述の配点も少なくなっているが、すべて正解しないと得点にならない選択問題があるので、今年度の社会の平均点は60点を越えてくるものと思われる。

傾向分析

・大問1はアフリカ州、オセアニア州に関する問題になっています。(1)の赤道や(2)のアボリジニの用語を答えさせる問題や(3)の南半球の雨温図を選択させる問題は正答率が高いと思われます。(4)イ、(5)の資料を読み取る問題は難易度が高そうです。

・大問2は九州地方と四国地方に関する問題になっています。(1)エはA~Cの県にあてはまるグラフをすべて正解しないと点数にならないため、正答率は低いと思われます。他の問題は、よく出題されている用語を問う問題などで構成されています。

・大問3は飛鳥時代から江戸時代までの歴史になっています。用語を問う問題では、漢字指定の問題があるものの、よく出題されている用語を問う問題などで構成されています。

・大問4は明治時代以降の歴史になっています。大問3と同様に、難易度が高くないと思われる用語を答えさせる問題を中心に構成されています。

・大問5は(1)が日本国憲法に関する問題、(2)が新しい人権に関する問題、(3)が裁判に関する問題になっています。昨年度見られた、広い範囲から出題する問題構成が今年度も見られました。

・大問6は経済に関する問題で、(1)、(2)が労働、(4)が為替相場、(5)が社会保障に関する問題と、経済の中でも、広く出題されています。(6)は説明の文章と資料を正確に理解できるかが問われています。

・大問7は地理4点、歴史6点、公民2点の小問集になっています。単元をまたいで考える問題は出題されていませんので、いつも通りに問題を解くことができると思われます。

猪股

【理 科】

概略

  • 大問1 生物・地学小問集合(20点)
  • 大問2 化学・物理小問集合(18点)
  • 大問3 生物・中3 生物どうしのつながり(生態系)(15点)
  • 大問4 中2 化学変化と原子・分子(金属の酸化、物質の質量)(17点)
  • 大問5 物理・中1 身のまわりの現象(光の性質(凸レンズ))(15点)
  • 大問6 地学・中2 天気とその変化(天気の変化、日本の天気)(15点)

傾向分析

設問構成、配点は例年通り。計算や作図はやや難しいが、分量はそれほど多くない。難易度は昨年度並みか、やや易しい(昨年度平均56.9点)。基本的な設問が多く、過去問を中心に対策を十分に行った受験生には解きやすい試験であったと思われる。

木村