参考リンク:平成19年度総評
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【国 語】 昨年と比較すると,大問1の配点が1点増え,大問3の配点が1点減ったという変化が見られましたが,全体的な難易度はやや易しめでした。 大問1は聞き取りの問題でした。問題用紙に記載されている資料と放送内容を照らし合わせてメモをとることで十分に得点できる内容でした。 大問2は漢字の読み書きでした。読みでは「廉価(れんか)」を「けんか」、「催(もよお)し」を「もようし」とする間違いに,書きでは「臓」や「暴」など画数の多い漢字の書き間違いに注意してほしいです。 大問3は漢文の問題で,『蒙求』からの出題でした。(1)の書き下し文を答える問題は,レ点が「下の漢字から一文字だけ上に返って読む」ということを理解しているかを問うものでした。(2)と(3)は,?子賤と巫馬期の二人の人物がどのような政治を行っていたかを読み取れるかがポイントです。本文の前半部分に書かれていることを見逃さずに読み取ることで得点につなげられる問題でした。 大問4は,中村明『日本語の作法』からの出題でした。(1)は動詞の活用に関連した問題が出題されました。その動詞のあとに続く語句によって活用形が決まるため,動詞そのものだけではなく,どのような語句に続いているのかに注目する必要がありました。(5)は本文中で筆者が何を主張しているかを考えた上で,空所の前後の内容に合わせてまとめられるかがポイントです。 大問5は,佐川光晴『駒音高く』からの出題でした。将棋のプロ棋士を目指す「祐也」とその「父」のやり取りと,プロへの道が絶たれた「祐也」の気持ちの移り変わりを描いた文章でした。全体的に読みやすい文章でしたので個々の人物の心情は読み取りやすく,易しめなレベルだったと思います。(4)と(6)では指定字数以内にまとめて答える問題でしたので,ここでどれだけ時間をかけずに答えられるかが明暗を分けそうです。 最後の大問6は作文の問題で,「美しい」と「きれいだ」の違いについて気づいたことと自分の意見をまとめるものでした。具体的な例を交えながらまとめることで高得点につなげられます。なるべく多めに時間をかけると落ち着いて対応しやすいため,試験開始後にすぐに着手するなどの工夫も有効です。
【英 語】
【社 会】 社会は例年通りの内容になっています。大問1,2が地理の問題,大問3,4が歴史の問題,大問5,6が公民の問題,大問7が小問集です。易しい問題が多く,難易度は高くないようですので,平均点は例年くらいかそれよりも高くなると予想されます。数字で言えば,60点からそれ以上になると思います。 大問1は世界地理の問題は,学校の定期試験によく出題される問題が多く,難易度は高くないと思います。(2)ウの記述も「アフリカの国々がヨーロッパの植民地になっていた」ことを覚えていると答えられる内容になっています。 大問2は日本地理の問題です。(3)松本市の雨温図を求める問題では,松本市以外の雨温図がどこの都市なのか示されていないので,松本市の平均気温,年間降水量の数字を覚えていないと答えにくい問題になっています。また,(6)北海道地方,東北地方,中部地方のグラフを選ぶ問題も,ウが北海道地方なのは選べますが,アとイを考えるときに,地方ごとの特徴を細かいところまで覚えていないと答えられないようになっています。 大問3は江戸時代までの歴史で,3人の人物のセリフから問題が構成されるのは,平成28年度に出題された形式と同じです。(4)3人の人物を1~9の選択肢(し)から選ぶ問題は目新しさがありますが,全体的に難易度は高くないようです。 大問4は明治以降の歴史です。(1)の時代の古い順に並べる問題では,並べる出来事が3つになっていたり,(6)の米騒動を答えさせる問題には米騒動の資料を載せていたりと,大問4の難易度は例年に比べて低くなっていると思います。 大問5,6は公民の問題です。大問5(5)の日照権に関する記述がやや記述しにくい感じになっているようですが,それ以外の問題は用語を答える問題や記述する問題とも,これまでよく演習してきた問題のようです。 大問7は小問集です。(5)潮(しおの)岬(みさき)の場所を選ぶ問題も,説明の文章を読むと選ぶことができるようになっているので,落ち着いて読めれば答えられるようになっています。 猪股 【理 科】 大問1は2分野(生物・地学領域)小問集合,大問2は1分野(化学・物理領域)小問集合,大問3〜6はそれぞれ生物・化学・物理・地学の大問であった。昨年・一昨年同様,大問7(融合問題)がなく,小問集合の配点が各20点の設問構成であった。昨年と比較して基礎的な知識を問う設問が多いほか,近年の入試の特徴である長い問題文の読解・表やグラフの読み取り・計算を要求される設問の難易度が下がったため,全体的な難易度は易化した。昨年よりも平均点は上がることが予想される。 大問1の2分野小問集合は,(1)が単細胞生物と顕微鏡の使い方,(2)が行動するしくみ,(3)が地震,(4)が月に関する出題であった。基礎的な語句や知識を問う設問が多く,解きやすい。(2)イは刺激の伝わるしくみ,(4)イは月食のしくみについて,それぞれ説明する力が求められる。(3)イは初期微動継続時間と震源からの距離が比例することを利用した計算問題である。数値は多少複雑だが,地震の単元では典型的な問題である。 大問2の1分野小問集合は, (1)が酸化銀の分解,(2)が中和,(3)がフックの法則,(4)が物体の運動に関する出題であった。大問1と同様に基礎的な語句や知識を問う設問が多く,各小問でそれと計算問題を組み合わせた構成であった。(2)イは反応する量に過不足があり,難しい。水酸化ナトリウムが完全に反応し,塩化水素があまる。(3)イはフックの法則,(4)イは物体の速さについての計算問題で,数値は多少複雑だがいずれも典型的な問題である。 大問3は中3生物領域から生物の成長と細胞に関する出題であった。タマネギの根の体細胞分裂を題材とした設問で,平成26年度入試の類題である。いずれも基礎的な内容であり,解きやすい。(4)は細胞分裂をした後に各細胞が大きくなるという順序に注意が必要である。 大問4は中1化学領域から水溶液に関する出題であった。前半部分((1)〜(4)ア)はいずれも基礎的な内容であり,解きやすい。(4)イは水の質量が200.0 gであることに注意が必要である。溶解度の問題では,「水の質量」と「入れた固体の質量」に留意し,グラフや表を読み取ることを心がけたい(解説動画参照)。(4)ウは,質量パーセント濃度を用いて溶媒(水)210 g,溶質90 gであることを求め,それを利用して再結晶を考える問題である。濃度,水210 gに溶ける物質の質量,析出量と計算が続き,煩雑で難しい。 大問5は中2物理領域から電流とそのはたらきに関する出題であった。(1)は入試頻出のオームの法則,回路の電流・電圧に関する問題で,過去問を中心に十分に対策した受検生には解きやすかったと思われる。(2)は電力と熱量に関する設問で,平成30年度,28年度入試の類題である。 (2)イはそれぞれの回路を考え,電源の電圧を6.0 Vとしたときの各電熱線の電流と電圧の値がわかれば電力を求められる。あるいは,合成抵抗を求めて電流の大きさを考えてもよい。定性的に判断できる受検生は少ないと思われるので,上述の通りに定量的に解くことをおすすめする。難度は高い。※(2)イについて…電流を流す時間がいずれも等しく,電熱線から発生する熱量の比較のみを問われているため,各電熱線の電力がわかればよい。したがって,図4のグラフはもとより,実験2で電熱線を水に入れること自体が不要である。仮に図4を利用したい場合でも,水の質量や比熱,外部に放出される熱量が不明なため,このグラフを計算に用いることはできない。「水の量は一定」,「はじめの水温も同じ」等,不要な情報が複数あり,作問の意図に懸念がある。 大問6は中2地学領域から大気中の水に関する出題であった。(1)の水蒸気の凝結,(2)の雲の発生は,ともに典型的かつ入試頻出の問題で,解きやすい。唯一の計算問題である(1)エも,湿度を求める基本的な問題であるため,得点しやすかったと思われる。 木村 |