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平成27年度 高校入試
【国 語】 
大問1は放送による検査でした。主題形式は昨年と同じで3点の問題が1問と,4点の問題が3問の15点という配点でした。文章の長さは昨年とほぼ同じでした。(4)では2つの資料を見比べて,どちらがよりわかりやすく内容を伝える効果があるのかをまとめる問題では時間がかかるため,やや難度の高い問題でした。
大問2では漢字の読み書きと選択肢問題が出題され,6年連続で同じ出題形式が続きました。(2)の選択肢問題は熟語の意味を理解していないと対応は難しいでしょう。
大問3は例年では古文と漢文が交互に出題される傾向にあり,今年度は漢文が予想されていましたが,予想に反し古文の出題となりました(『醒酔笑』から出題)。そのため、戸惑った受験生は多かったかもしれません。古語の現代語訳や動作主の判別は,落ち着いて本文を把握できるかがポイントです。また、(3)の記述は、そもそも「つれづれ草」を食用の草と思い違いをする、ということを読み取れるかどうか。これも難易度は高い。
大問4は小説,須藤靖貴の『どまんなか』が取り上げられました。文章においては特別読みにくい箇所はありませんでした。ただ(5)は「カエル(蛙)」と「還る」がかかっていることに気づき,それをまとめて文章化する実力が試されるため,難度の高い問題でした。本文だけではなく,脚注にもしっかりと目を通すことが重要です。
大問5は論説文,山田敏弘の『日本語のしくみ』から取り上げられました。記述形式の問題は2問ありましたが,そのうち1問は本文中から抜き出すものでしたので,全体的な難易度は昨年と同じくらいです。(2)のような接続語の問題は頻出ですから,しっかりと対策できていれば十分に対応は可能だったかと思います。大問4,5ともに文法に関連した問題が1問ずつ出題されました。今後も出題される可能性はありますから,文法が苦手な人は今から少しずつ勉強しておきましょう。
最後の大問6は作文でした。文を書くにあたっての条件は例年通りでした。「広く浅く」と「狭く深く」のどちらがよいのかを自分なりにまとめていく必要がありますが,あまり時間をかけずに書ききることが求められます。作文にかける時間を他の問題や見直しの時間にあてることで得点アップが狙えますので,自分の伝えたいことを瞬時にまとめることが大事です。
大問数は昨年と同じく6問でした。小問数は一昨年と34問で,昨年の37問から減少しました。記述形式の問題では文字数の多くなる問題があるため,他の問題にあてる時間が少なくなってしまった受験生も少なくなかったのではないでしょうか。時間配分を考慮して問題を解く練習を十分にしておくことが高得点のカギになります。(阿部)

阿部

【英 語】


英語・全訳付き解説
大問1のリスニング(1)の問題は、例年通り絵の中から選ぶ問題でした。(2)は、選択肢に注目して、必要なことをメモしておくことが必要でした。放送された英文が昨年の80語から今年は73語に若干少なくなりましたが、内容はほぼ例年並です。イの設問で「公園に行ったのはいつか?」に対して、「土曜日は雨で行けなかった。次の日、自転車で行った。」という放送から「日曜日」を答えるところは、メモをしっかり取ることができたでしょうか。(3)の対話文では、シュンとエレンが電話で昼食の予定について話しています。 難易度は平年並みです。
大問2の(1)は並べ替え英作文です。ア動詞が2つありますが「買う必要があります」とするために、「need to buy」と名詞的用法の不定詞で接続します。イ「between A and B 」を使います。ウは「どの色が」を英訳するときに「Which color」とすることに気が付いたでしょうか。(2)の適語補充は日本語の広告に「1週間以内返品可能」とありますから「one week」となります。(3)の自由英作文は例年通り15語以上の条件でした。ジムのお気に入りの靴を見て、「ジムにかける言葉」を作る問題でした。比較的制限の少ない英文で表現することができる内容でした。
大問3は、エミとレイチェルの2人の電子メールの対話文で2つの適文補充と3つの英作文でした。前後の文から会話が成立する文を探す問題です。(1)のAは直後のエミの会話から「だから、あなたがいなくてさびしく思うわ」とあるので6の「あなたが1ヵ月前に学校に戻りました」と理由がわかる文が入ります。Bは直後の文で「その日、会うことができますか。」とありますから1の「私は12月27日から予定がなくなります。」が続きます。(2)のアでは、直前の文で「私は何枚かの絵ハガキを買い、あなたに送った」とありますから、相手に「もうすぐあなたはそれらを受け取るでしょう」という文が入ります。イでは直前の文で「でも、あなたに聞かなければならないことが一つあります。」と言っていますので、直後の文で「私は12月26日に到着予定です。」が答えとなるような未来形の疑問文が必要です。ウでは直前の内容から「とても楽しみにしています。私は科学博物館に興味があります。」とあり、直後で「もちろんです。いい考えですね。」とありますから、「一緒に行ければいいですね」などの提案を入れれば会話が成り立ちます。
大問4は、シズカが世界の水資源調査について英語の授業で行ったスピーチについてでした。語数は211語でした。形式は(1)が去年の、内容とあっているものを日本語の選択肢から2つ選ぶ問題から、要約文に適語を入れる問題に変わりました。それ以外の問題には変更がありませんでした。(2)の疑問文中の主語や動詞の種類に注意し、疑問詞に対する答えを探して英文を作る必要があります。(3)の最初の英作文は「何をすべきか」で「what to do」を使うことに気付いたでしょうか。2つめは一つの主語に動詞が2つある長い英作文になります。日本語に主語、動詞の印をつけてから作る必要がありました。
大問5は、去年より長文の語数が443語から422語になりました。ツバサとケンが運動会の学級対抗リレーで体験したことについての文章です。形式は例年とほぼ同じでしたが、最後の下線部内容を日本語で書く設問が1つ増えました。 (1)の英文を完成する問題は、選択肢の話題が本文中のどこの段落であるか探し、そこから詳しく前後の内容を調べます。(2)の適語補充の問題は文の前後から必要なのは「どんな語」であるのか探す必要があります。(3)(4)は英文の指示語が本文のどこを指すのかしっかり見つけましょう。出題形式、問題量とも若干の増減はありましたが、例年より平均点は上がると思います。  


蝦名


【数 学】 

数学は,全体的に易しい問題でした。大問1〜大問4はスムーズに解き進められ,大問5に時間を多く使うような設問構成でした。平均点は昨年よりやや高くなると予想されます。
  1. 解き方1
  2. 解き方2
  3. 解き方3
大問1の小問は,ひねりもなく教科書の基本レベルの問題でした。中央値も奇数個から,作図も角の二等分線だけなど,丁寧に解いて例年通りの43点を確実にとっておきたいところです。
大問2は確率と連立方程式の文章題でした。確率の問題は「さいころを用いた反比例のグラフ上の点」で数えやすく容易でした。連立方程式の文章題は「献立の材料」を使った問題でしたが,図の分量は「4人分」ということに注意して丁寧に解くことがポイントです。
大問3の(1)は昨年と同じく,投影図(円すい・球)から体積を求める問題でした。球の体積の公式を覚えていれば解けたと思います。(2)アは円周角または対頂角を用いた典型的な相似証明でした。証明の苦手な人も配点5点を取りやすいと思います。(2)イの相似後の辺の長さを求める問題は解きにくく感じた人もいたと思います。アの問題で証明した相似な三角形の比が3:1であることを使って,「相似比→三平方→二次方程式」のパターンでした。
大問4は二次関数と一次関数の融合問題は「座標→式→面積→面積二等分」の典型的なパターンで,答えがすべて整数で出るので解きやすかったと思います。(2)を間違えると(3),(4)も解けないので,基本に忠実な分,正確に解くことが重要でした。二次関数のグラフが下に開く(a<0)形のみの出題は新しいパターンでした。

佐々木

【社 会】
地理は世界地理と日本地理の大問2題、歴史は江戸時代までと明治時代以降の大問2題、公民は政治の仕組みと経済を中心に大問2題、融合問題が1題と例年と変わらない出題になっています。記述の配点がやや減ったようです。
<<地理>>
大問1の(1)では語句を答える問題でした。ヨーロッパの地形をどれだけ理解できているかが問われました。(2)は近年経済が発展してきているブラジルの産業に関連した問題でした。ブラジルに限らず,中国やロシアなど経済の発展が著しい国を取り上げた問題は今後の入試で出題される可能性は十分にあります。(3)は直前講習でも扱った問題が出題されました。指定された地点の地球上での反対の点を答えるものでしたが,解法を覚えていれば容易に答えられたのではないでしょうか。(4)は地図の特徴を答える問題でしたが,こちらも個々の地図の特徴を把握していれば難なく答えられます。
大問2でも,直前講習で扱った問題が出題されました。(1)は季節風と海流の問題,(2)は日本列島を東西に分ける溝状の地形(フォッサマグナ)を答えるものでした。(3)は日本で3番目に世界自然遺産として登録された世界遺産の名称(知床)を答える問題でした。日本の世界遺産を把握しているかが明暗を分けますが,ここで悩んだ受験生は少なくなかったのではないでしょうか。(4)アの問題は,指定された語を用いて記述して答える問題でした。工場が東北自動車道沿いにあることは輸送の面で利便性があることを自分の言葉でまとめられるかがポイントです。イの問題は資料の読み取りでしたが,数値の読み間違いさえしなければ着実に得点できる問題でしたので,ここは取りこぼしたくない箇所です。また,ウの問題は東北地方の伝統産業について「適切ではない」文を選ぶものでしたが,こちらも問題を読み間違えることなく落ち着いて臨めば得点できるレベルでした。


阿部

<<歴史>>
大問3は、近世までの問題。(1)Aは「鎌倉府」が室町時代を判断するところです。Bは組織図が二官八省になっているので奈良時代、Cは「老中」や「京都所司代」があるので江戸時代を判断する材料になります。(2)Aが室町時代だと分かるかどうかがポイントです。Aが室町時代だと分かれば、答えやすい問題でした。(3)イ.3豪族が活躍しているので、古墳時代〜飛鳥時代です。
大問4は、近代以降の問題です。(1)ウ.1日中戦争(1937年)、2第1回帝国議会(1890年)、3米騒動(1918年)、4大日本帝国憲法(1889年)(2)ア.1第一次世界大戦は日清戦争、3東海道線は高度経済成長の出来事、4満州が1931年の満州事変のあとになると考えて選択肢を選びましょう。
<<公民>>
大問5は、三権分立、人権の問題です。(1)ロックが抵抗権、モンテスキューが三権分立、ルソーは人民主権を唱えました。(5)2居住・移転・職業選択の自由が「経済活動の自由」です。
大問6は、経済の問題です。資料の株式会社の図はよく出る図なので答えやすい問題です。(1)エが答えづらい記述です。(2)3消費者基本法が誤りで、独占禁止法です。
<<融合>>
大問7は、地理・歴史・公民を合わせた小問集です。総合的に考える問題はなく、小問1つ1つが独立した形になっているので、いつもと同じように解けます。
猪股

 
 
【理 科】

大問1は2分野小問集合,大問2は1分野小問集合,大問3〜6はそれぞれ生物・化学・物理・地学の大問,大問7は融合問題と,例年通りの設問構成であった。単に知識を問う設問だけでなく,「考えて解く」設問が随所に見られ,解きにくいと感じる受験生も多かったと思われる。難易度は例年通りであった。
大問1の2分野小問集合は基本的な知識を問う問題が多く,スムーズに解き進められたはずである。
大問2の1分野小問集合では,(2)のマグネシウムの燃焼を化学反応式で表す問題,(3)イの密度をもとに物質の浮き沈みを考える問題が目新しい。(1)の運動や(3)アの有機物の問題は易しく,必ず正解したい問題である。
大問3は植物の光合成に関する実験についての問題である。(3)イや(4)アでは,実験条件から結果を推定する力が求められ,やや解きづらい。その他はよく見る設問で,対応しやすかったと思われる。
大問4は塩化銅の電気分解,物質の質量に関する問題である。(1),(2)は基本的な内容で解きやすい。(3)は比を用いた計算,(4)は小数を含む濃度の計算が必要であり,正答率は低めであると予想される。
大問5は電流が磁界から受ける力についての問題である。全体的に基本通りの内容であるが,ばねばかりを用いて力の大きさを測定する実験内容には戸惑う受験生も多かったと思われる。(5)の問題は18年度入試で出題されており,対策が十分であれば正解できる。
大問6は岩石と地層に関する問題である。全体的に基本通りの内容であった。(3)イの柱状図を比較する問題では,Y地点のみ標高が異なるため,やや解きづらい。しかしX地点とZ地点が同じ標高であるため,地層の傾きをイメージしやすかったと思われる。
大問7は刺激と反応,音の性質の融合問題である。全体的に基本通りの内容であった。(4)は実験内容を正確に読み取り,音の進み方を図示できるかがポイントとなる。
木村