平成21年度青森県公立高校入試総評
【国 語】 新傾向がいくつか見られたものの、全体的に難易度は下がった。
大問2の漢字は、昨年比でやや簡単になった。
大問3の文法も同じくやや平易。(2)の文の書き直し問題は、平成19年度にも出題されたが、修正箇所が指示されており、解きやすい。(3)は、キャッチコピーをつけるという思考力と比喩の理解を問う問題で、問題の意図を汲めなかった生徒は苦労したのではないか。
大問4には、『韓非子』から「矛盾」がとりあげられた。昨年が「現代文+古文のミックス」だったということを考えると、教科書に出てくるこの文章は受験生にとって楽だったと思われる。現代かなづかいや返り点の問題も平易。
大問5は、論説文。昨年は森本哲郎の砂漠に対する哲学的考察が取り上げられていたのに比し、今年度は「落ち着いて本を読むこと」という、中学生にも感覚的に理解しやすい内容であった。多くの受験生が苦手とする記述式問題は、(4)に出てきており、昨年の「25字以内(語の指定有)」から、「40字以内」とボリュームアップした。しかし、ほとんど抜き出しで答えを導くことができ、かつ正解の幅も広かったので実質平易になっている。(3)のアは新傾向で、文の構成について記述させる問題で、やや難しい。
大問6は、小説。難しい問題はなかった。
大問7は毎年出題されている200字作文。文章を読み、第1段落で自分の意見を、第2段落でその理由を書く、というものであった。グラフ付きの文章であったことが目新しいが、グラフの分析をするような問題ではなかったので難易度には関わりがない。昨年は、短歌についての文と、ある生徒の短歌を読み、1段落ではその詠まれている情景を、2段落では短歌に対する意見を書く、というものであった。今年度の様に、自分の意見を自由に書ける方が、受験者にとっては書き易かっただろう。
以上から、今年度の受験者平均点は、昨年比で上がるであろう。
佐藤

【英 語】
大問1のリスニングの問題は例年通り絵の中から選ぶけいしきでした。(1)の問題では、ウで、買い物をした残りの所持金から昼食の代金を答える問題でした。計算を必要とする問題でしたが、できたでしょうか。(2)のスピーチでは、放送された内容の、練習開始時刻と練習時間から、練習終了時刻を答える問題では、聞き取った内容をメモする必要がありました。(3)の文では、コンピュータを買いに行くのに一緒に行くことをお願いされた、たかしは用事があって代わりに姉に頼むことにする。ウでたかしがなぜケイトの手伝いのために姉に頼むことにしたのか、その理由を答える問題では、聞き取った要点を読み取ることが必要でした。直前講習での練習の成果は、本番で発揮できたでしょうか?
大問2の(1)は並べ替え英作文です。イは名詞を後ろから修飾する、形容詞的用法の現在分詞を使った英作文でしたが、注意しなければ、現在進行形の動詞にしてしてしまうので、確かめが必要でした。ウは動詞の形は受動態ですが、「どんな言葉」を「What language」とすることに気づいたかどうかがポイントでした。(2)は去年の資料を読んで英作文を作る問題から、「自分にとって大切なものと大切に思う理由」というのは、塾生にとっては3学期の入試練成問題で練習しているので、比較的英文を作りやすかったのではないかと思います。まず初めに自分の作ろうとする内容の日本文を作りに、それにS,Vマークをつけて英作文にすることが大切です。
大問3は、2つの対話文補充と3つの英作文で、去年と同じ内容でした。前後の文から会話が成立する文を探すのですが、単に疑問文やその答えを探すだけの問題ではないものもあるので少し注意が必要でした。
大問4は、語数は去年よりも少し少なくなりましたが、形式、難度ともほぼ去年と同じ内容でした。大阪の川で行われているイケチョウ貝を使った川の水をきれいにする事業に取り組んでいる人々の話でした。(2)の英語の質問は主語や動詞の種類に注意して正しい代名詞、代動詞を選んで英文を作る必要があります。(3)の1はthere are構文の主語を先行詞とする、関係代名詞を使う必要のある英作文でした。
大問5は、去年より少し語数は増え、400語程度の英文でした。8才のジェニーがおばあさんのために誕生日パーティを開いてあげるために多くの人の協力をもらって無事開催できたというお話でした。主語や動詞などの文の作りに注意しながら意味を取っていく必要がありました。英文完成の選択問題、要約文の適語補充、代名詞の指す内容を日本語で答える問題までは去年と同じでした。最後の問題が主題を選択肢の中から選ぶ問題から、本文中の語の指す部分を抜き出す問題に変わりました。
出題形式、問題量とも去年とほぼ例年通りでした。英作文と長文の比重が多いので、今回の英語の難易度は、去年並みであったと思います。
蝦名

【数 学】 
【1】は基本的な問題でした。(7)は立方体の展開図を書いてみるとよと思います。(8)は角の2等分が頭に浮かべば解けます。
【2】も基本的な問題です。(1)はπ=3.14と考える。(2)はX=−1/2を実際に代入する。(3)は表を作成する。(4)は方程式を作る。
【3】の(3)は見方を変えて、

以上のように見る。
【4】の2次関数は、円Aの中心は(p,p)と考える。円Bは(−1/q・1/2q2)と(2)から(−q・q+2)と考え、1/2q2=q+2で解く。
【5】はやや難しい。(3)4つの直線を全て式で表し、先生の位置をPとおきY=Pを代入し式を作る。
山ア

【社 会】

[歴史]【3】(1)(5のイ)は直前講習で学習した問題と全く同じ。(5のウ)の資料の並び替えは資料1〜4の時代把握が必要です。
【5】(2のウ)は産業革命と関連付けて答えを出せます。

[公民]塾生ならば、講習と同じ資料、同じ問題が出題されて驚いたと思います。
今年も記述式が数多く出題されました。この傾向は来年度も続くと思われます。

[地理]教科書の範囲を大きく逸脱するような内容はなく、昨年度よりも易しくなっています。グラフの読み取りも、丁寧に時間をかけて見ればできたはずです。正距方位図法の基本や、日本における発電所の位置は、直前講習および入試練成講座で練習した通りです。
沼田
中村

 
【理 科】
【1】(4)イは、気温が同じなので、湿度で判断する。【2】(2)は、圧力はPa=N/m2を使うと良い。小問は、基本的な事項を問われている。
【3】も基本的な問題。【4】2Ag2O→4Ag+O2という分解の問題はやや難。(4)は炭素と結びついた残りが銅と考える。
【5】柱状図は基準点を考えてみる。【6】は抵抗を求める。
全般的に易しかったが、圧力や化学反応式、物質の結びつきなど、計算の問題に慣れていないと解けない問題もあった。 
山ア